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長次と小平太を中心に、様々な学年が出てきます。
日常の話です。
長次に変な趣味があるわけではありませんので、
誤解なさらないよう、お願いします☆





























「見てみて!長次!」


夜、ランニングから帰ってきた小平太が、自分とそっくりの腕人形を見せてきた。


「これ滝夜叉丸が作ったんだ!パペットっていうんだって!なかなか上手いよな〜!


まー、も〜少し凛々しくてもいいような気がするけど・・・。」


と、腕人形の口をパクパクさせながら言った。


「それで、面白いからもっと色んな人のを作ってほしいって言ったんだ!


けど、面倒くさいって言われて。


1個も100個も一緒なのにね!」


「・・・。」


「全く、あいつはケチだよな。」


「・・・。」


「文次とか留三郎とかいたら面白いのに。」


「・・・。」


「まーいいや。また明日頼んでみよ!じゃー、長次おやすみ〜。」


「・・・おやすみ。」


と言って、1分もしないうちに小平太は眠りに就いた。




次の朝、目が覚めたら長次はすでに居なかった。


先に朝食を食べに行ったんだろうと思いながら、ふと枕元をみた。


すると、滝夜叉丸の作った小平太のパペットの横に、文次郎と留三郎のパペットが置いてあった。


小平太は嬉しそうに食堂へ向かい、食堂に入るなり、


「長〜次が夜なべ〜をしてパペ〜ット作ってくれた〜♪」と歌いだした。


ストンと長次の横に座り、


「長次ありがとう!!流石だよ!長次なら作ってくれると思ったんだ!しかも滝夜叉丸より上手いし!」


あまりにも大きな声だったので、少し遠くで食事をしていた滝夜叉丸まで聞こえ、滝夜叉丸はムッとした顔をした。


小平太はよほど気に入ったらしく、文次郎と留三郎のパペットで文次郎と留三郎をからかっていた。





「・・・まだまだ納得いかん。」





次の朝、今度は伊作と仙蔵のパペットが枕元に置いてあった。


「また作ってくれたの!?すごいな長次!!


しかも、なんか昨日の文次と留三郎のよりリアルになってないか?」


「・・・。」


「さっそくみんなに見せてこよぅ!」


と言うなり食堂へ向かい、まるで自分が作ったかのように見せびらかした。


「わぁ!私のパペットも作ってくれたんだ!」


と、伊作は嬉しそうに言い、口をパクパクさせて遊んでいた。


また仙蔵は、「長次は中々、作法委員の素質があるな・・・。」


などと言い、自分のパペットをまじまじと見つめていた。


そこへ長次がやってくると、食堂にいた様々な学年の子たちが長次の周りに集まり、


「どうやって作ったの?」とか、「どのくらいの時間がかかったの?」などと口々に言い、


長次の作ったパペットは、すっかり注目の的となっていた。


それを見て、滝夜叉丸はさらに気に食わないという顔をした。





一通りの質問に答え(ちゃんと聞こえていたかは分からないが)、大分食堂に人が減った頃、長次はようやく6年のいる席に座り、朝食を食べ始めた。


「すごい人気だったな長次!」


「・・・。」


「だって、これ本当にすごいもん!」


「・・・。」


「確かに・・・。お前こんなに器用だったんだな。」


などと、同学年の5人からも意外なほど褒められたが、長次自身はパペットの出来に納得していなかった。





「・・・いや、まだまだだ。」





さらに次の日も、その次の日も長次は忍術学園中の人のパペットを作り続けた。


しかし、長次の納得行くようなものが中々できず、2週間が過ぎた。





この2週間、ほぼ毎日徹夜で過ごしていたため、顔色などが悪くなり、流石に同学年の5人は心配になった。


「長次〜。そんなに頑張って作らなくてもいいんじゃないかな?」


「そうだよ、どっかのギンギンみたいになってるよ。」


「なんだと!」


と、小平太と文次郎が喧嘩しだした。


それを無視して仙蔵が、


「十分良い出来だが、まだ納得がいかないのか?」と尋ねた。


「・・・もっと本物に近づけたい。」


「・・・みなに心配かけて悪いが、もう少しだけ作らせてくれ。」


と、長次があまりにも真剣だったため、5人はそれ以上何も言えなかった。





翌日、小平太が起きると、長次が布団の上で正座をしていた。


「うゎ!どうしたの!?」


「・・・。」


「・・・自信作。」


と言って、小平太にパペットを手渡すと、長次は倒れ込んだ。


「おい長次!大丈夫か!?」


どうやら眠ったようで、揺すっても起きなかった。


小平太は布団をかけてやり、長次に手渡されたパペットに目をやると、ものすごい勢いで食堂に向かった。


食堂に入るなり、2年生が座っているところへ行き、四郎兵衛の手にすっぽりとパペットをはめた。


「あはは〜。こりゃそっくりだ!」


と言って、本物とパペットを見比べた。


「みんな見てくれ!これが長次の自信作だ!!」


と言って、四郎兵衛に注目させた。


わけも分からず四郎兵衛がポカンと口を開けていると、それがさらにそっくりで、食堂中に笑いがたちこめた。





その頃、長次は夢の中で、四郎兵衛パペットの完成をみんなに祝福されていたとか・・・。




おわり







あとがき


最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
ものすごい無理やりな話ですみません・・・。
もう一度言いますが、長次に変な趣味があるわけではありません!
このオチが書きたかったんです。
ちなみに、パペット職人を長次にしたのは、一番こだわりをもち、器用そうだったからです。
四郎兵衛のパペット作りたいなぁ〜。






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